お知らせ・トピック
竹田教授が第14回都医学研シンポジウムで光制御型モノネガウイルスの原理と応用について講演しました。
第14回 都医学研シンポジウム 創薬を目指したバイオエンジニアリング
https://www.igakuken.or.jp/public/sympo/sympo14.html
2025年3月17日(月曜日)13:00 – 17:00
東京都医学総合研究所 講堂
光遺伝学の最先端科学や医学への応用が進展している。また、遺伝子改変を施したウイルスを利用したがん治療や再生医療への応用、さらにはワクチンとしての利用など、ウイルスの活用範囲は多岐にわたっている。
私たちは長年にわたり、非分節型マイナス鎖RNAをゲノムに持つモノネガウイルスの研究を行ってきた。麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、RSウイルス、エボラウイルスなど、多くの医学的に重要なウイルスがモノネガウイルスに分類される。この中でも麻疹ウイルスは、がん治療用ベクター、多価ワクチンベクター、再生医療用ベクターなどとして多方面で利用されており、とりわけがん治療用ベクターとして、海外で多くの臨床試験が進められている。
私たちは、これらモノネガウイルスのポリメラーゼに光応答性タンパク質(Magnet)を組み込むことで、光によってウイルスの遺伝子発現や増殖を自在に制御できるウイルスベクターを開発した(Tahara et al. 2019 PNAS)。この技術は既に麻疹ウイルス、狂犬病ウイルス、パラインフルエンザウイルスなどに導入することに成功しており、現在、主にがん治療用ベクターとしての応用を目指した研究を推進している。光制御によってウイルスの増殖性を時空間的に制御することで、標的細胞に対する強い細胞障害性を発揮させつつ、完全な安全性を確保するという、相反する性質をもたせることに成功した。
具体的には、光制御機能を持つ麻疹ウイルスの非分節型ゲノムを2本に分節化することで、外来性遺伝子の挿入耐性を向上させるとともに、ウイルスの増殖性を向上させた。さらに、受容体特異性を広範ながん細胞に感染できるよう改変し、同時に従来の免疫細胞指向性を排除した上で、ウイルスの細胞障害活性(細胞溶解活性)を高める性能を付与した。作製したウイルスは、暗所では全く増殖せず、光照射時に強い増殖性と細胞障害性を発揮した。これにより、ヌードマウスの舌上に担がん化させたヒト舌癌細胞を効果的に縮小、または消失させることに成功した。
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