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第31回 日本遺伝子細胞治療学会で博士課程2年の王鈺瀅さんがシンポジストとして発表しました。
第31回 日本遺伝子細胞治療学会で王鈺瀅さん(博士課程2年生)がシンポジストとして発表しました。
2025年7月23–25日 ホテル雅叙園東京(東京都目黒区)
https://square.umin.ac.jp/jsgct2025/index.html
Yuying Wang (王鈺瀅) et al.
Oncolytic Activity of Blue Light-Controlled Measles Virus for Tongue Cancer and Melanoma Cell Lines
(舌癌並びにメラノーマ細胞株に対する青色光制御型麻疹ウイルスの腫瘍溶解効果)
麻疹ウイルス(MV)は、モノネガウイルス目に属し、ワクチン開発や腫瘍溶解性ウイルス療法の研究対象として広く解析されてきました。2019年に私たちは、青色光で制御可能なモノネガウイルス遺伝子発現システムを報告しました。このシステムは安全性を高め、ウイルスベクターのより精密な制御を可能にします(Taharaら, 2019, PNAS)。今回、私たちはこのシステムを組み込んだ改変MVベクターを用いて、舌癌やメラノーマといった表在性のがんに対する腫瘍溶解効果を評価しました。
まず、分節化RNAゲノムを有するMVベクターを構築し、青色光制御システムを組み込むことで複製能を強化し、さらに追加遺伝子をコードできるようにしました。野生型MVは免疫細胞および上皮細胞上の受容体として、それぞれSLAMとnectin-4を利用することが知られています。これに対し、ワクチン株はさらに、多くのがん細胞で過剰発現している分子CD46を利用することが可能です。そこで、本MVベクターはワクチン株由来の受容体結合性Hタンパクを搭載するよう改変しました。注目すべき点として、舌癌およびメラノーマ細胞における効率的な腫瘍溶解にはCD46との結合が必須であることが明らかとなりました。
ルシフェラーゼ発現舌癌およびメラノーマ細胞を有するマウスに対し、改変MVベクターを複数回腫瘍内投与しました。青色光照射下では、腫瘍保有マウスにおいて、通常光下の対照群と比較して発光シグナルが有意に減少し、青色光制御型MVベクターによる効果的ながん細胞破壊が示されました。
これらの結果は、青色光制御型MVベクターが光照射可能な部位のがん治療における新たなプラットフォームとなりうることを示し、より安全で精密に制御されたMVベースの腫瘍溶解性ウイルス療法開発への新しい方向性を提示しています。
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