兵藤さん（医学部5年生）の研究成果が、感染症分野の著名な国際誌 PLOS Pathogens に受理されました。

Evolutionary and structural basis of SLAMF1 utilization in morbilliviruses – Implications for host range and cross-species transmission

モルビリウイルスにおけるSLAMF1利用の進化的および構造的基盤 － 宿主域および種間感染拡大への示唆

Ayumu Hyodo, Fumio Seki,b, Kento Fukuda, Kaede Tashiro, Yuki Kitai, Yukiko Akahori, Hideko Watabe, Hiroshi Katoh, Rikuto Osaki,  Daisuke Takaya, Norihito Kawashita, Hideo Fukuhara, Satoshi Ikegame, Tomoki Yoshikawa, Park Eunsil, Shigeru Morikawa, Ryoji Yamaguchi, Benhur Lee, Katsumi Maenaka, Tsuyoshi Shirai, Kaori Fukuzawa, Shigenori Tanaka, Makoto Takeda

本研究では、麻疹ウイルスを含むモルビリウイルス属のウイルスが、どのように異なる動物種に感染可能となるか、その分子基盤の一端を明らかにしました。ウイルスが免疫細胞に侵入する際に利用する「SLAM（CD150）」受容体に着目し、多様な動物種のSLAMを用いて解析を行ったところ、ほとんどのモルビリウイルスが複数種のSLAMを利用できる一方、ヒトSLAMを効率的に利用できるのは麻疹ウイルスだけであることが分かりました。
加えて、祖先型のSLAMを復元・解析したところ、これらはすべてのモルビリウイルスに対して共通に利用可能な「汎用受容体」として機能することが明らかとなり、モルビリウイルスが多様な宿主に適応しうる基盤として、SLAMの進化的保存構造が重要であることが示されました。