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第57回日本小児感染症学会にて竹田教授が麻疹に関する特別講演を行います
第57回日本小児感染症学会にて竹田教授が麻疹に関する特別講演を行います。
https://square.umin.ac.jp/jspid57/
2025年11月8〜9日
グランドニッコー東京ベイ舞浜
会長:松原知代(獨協医科大学埼玉医療センター小児科教授)
特別講演:麻疹対策と麻疹ウイルス研究の進展および今後の課題
2025年11月9日 10:40~11:40
麻疹は麻疹ウイルスによる急性のウイルス感染症であり、高熱や全身に広がる発疹、一時的な強い免疫抑制を特徴とします。感染力は非常に強く、致死率も高いとされています。幸いなことに、有効性と安全性に優れた生ワクチンが開発され、半世紀以上にわたって使用されてきました。この間、臨床的に問題となる抗原性の変化は確認されておらず、この古典的ワクチンは現在に至るまで、すべての流行株に対して一様に高い有効性を示しています。さらに、自然界における感染宿主はヒトのみであるため、ワクチン接種を徹底すれば理論上は根絶も可能と考えられます。実際、1990年代後半から世界的に対策が強化され、患者数は大きく減少しました。しかし、新型コロナウイルスの流行以降、対策は後退し、現在は再流行が大きな課題となっています。
麻疹対策は「ワクチンの有効性は変わらない」という前提に立っていますが、その科学的根拠についてはまだ十分に解明されていません。同じモルビリウイルス属の他のウイルスとは抗原性が大きく異なるため、麻疹ウイルスにおいても抗原性変化が生じうる可能性は否定できません。
麻疹ウイルスは2種類の受容体を利用し、免疫細胞と上皮細胞の双方に感染します。免疫組織を標的として全身感染を引き起こした後、大量の子孫ウイルスを気道から放出します。しかし、これだけでその圧倒的な感染力を説明できるかについては疑問が残ります。さらに、まれに生じる致死的な中枢神経系への感染機構はいまだに分からないことが多く、有効な治療法も存在しません。
麻疹ウイルスは、臨床的には流行株を区別する必要はなく、すべて同一のウイルスと考えて問題ありません。遺伝子型分類は主に疫学的追跡のために導入されていますが、近年ではB3型とD8型のみが世界的に流行し、他の型は検出されなくなりました。B3型やD8型が他の型よりも流行に適している可能性は考えられますが、そのことを裏付ける科学的証拠は現時点では得られていません。
本講演では、麻疹および麻疹ウイルスについて、これまでに分かっていることと、いまだ残されている課題を皆さまと共有したいと考えています。
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