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2025.08.22論文

抗TMPRSS2抗体療法の可能性について理研主導の共同研究論文を発表しました。

抗TMPRSS2抗体療法の可能性について理研主導の共同研究論文を発表しました。


研究者たちは、TMPRSS2というヒト細胞のたんぱく質を狙ったモノクローナル抗体を開発しました。TMPRSS2は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が体内に入るのを助ける働きを持っています。この抗体は、培養細胞やヒト肺オルガノイドでの感染を強力に防ぎ、オミクロン株を含むすべての検討された変異株にも効果を示しました。抗体はTMPRSS2の本来の酵素としての働きを止めるのではなく、ウイルスが細胞に結合する仕組みを物理的に妨げていると考えられます。さらに、特別に遺伝子改変したマウスやカニクイザルでの実験では、肺の中のウイルス量を減らし、炎症を抑える効果が確認され、新型コロナ治療薬として有望であることが示されました。


Harada M et al. Monoclonal antibodies against human TMPRSS2 prevent infection by any SARS-CoV-2 variant. iScinece. 28:113424, 2025.