研究内容

ウイルスベクターの開発・先端医療への応用研究

ウイルスはゲノムサイズが小さく、また、私たちの研究室が主に利用するパラミクソウイルス(麻疹ウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルスなど)は遺伝子改変が比較的容易なため、ウイルスベクターとして活用することで、遺伝子治療、がん治療、ワクチン開発などの応用が進んでいます。私たちはこれまでに複数の遺伝子を同時搭載したiPS細胞作製用ウイルスベクターや、光照射によって増殖をコントロールできる世界初のウイルスベクターを開発してきました。現在、ベクターとしての性能の改良に加え、搭載する遺伝子の検討を進めながら、臨床応用を目指したさまざまなウイルスベクターの開発を検討しています。どのような性能のウイルスベクターが必要であるかなどのご提案をいただくとともに、共同研究などを積極的に受け入れていきたいと考えています。



主な関連業績

  1. Okura T*, Tahara M, Otsuki N, Sato M, Takeuchi K, Takeda M. Generation of a photocontrollable recombinant bovine parainfluenza virus type 3. Microbiology Immunology (Online ahead of print)(光制御可能な組換えウシパラインフルエンザウイルス3型の作製)
  2. Bae C, Katoh H*, Wakata A, Sakata M, Kato F*, Takeda M. Demonstration of bacterium-free very rapid reverse genetics system using mumps virus. Microbiol Immunol 76:44–7(ムンプスウイルスを用いた大腸菌フリーの超高速リバースジェネティクスシステムの実証)
  3. Hiramoto T, Tahara M, Liao J, Soda Y, Miura Y, Kurita R, Hamana H, Inoue K, Kohara H, Miyamoto S, Hijikata Y, Okano S, Yamaguchi Y, Oda Y, Ichiyanagi K, Toh H, Sasaki H, Kishi H, Ryo A, Muraguchi A, Takeda M*, Tani K*: Non–transmissible MV vector with segmented RNA genome establishes different types of iPSCs from hematopoietic cells. Mol Ther 28:129–141, 2020.(分節型RNAゲノムを持つ非伝播型麻疹ウイルスベクターによる造血系細胞からの異なるタイプのiPS細胞の樹立)
  4. Tahara M, Takishima Y, Miyamoto S, Nakatsu Y, Someya K, Sato M, Tani K, Takeda M*: Photocontrollable mononegaviruses. Proc Natl Acad Sci USA 116:11587–9, 2019.(光制御型モノネガウイルス)