教授挨拶

竹田 誠教授
Makoto Takeda

ご挨拶

2026年の新年を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。

2019年末に始まり、その後、世界を未曾有の混乱に巻き込んだ新型コロナウイルスによるパンデミックも、時間の経過とともに、日常の中では少しずつ遠い出来事のように感じられるようになりました。しかしその一方で、感染症が社会に与える影響の大きさを、私たちは改めて強く実感しました。我が国においても、感染症研究、ワクチンや治療法の開発に向けた取り組みが、これまで以上に活発に進められてきたと感じています。

近年では、高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスが哺乳動物へと感染を広げ、乳牛が被害を受けるなど、予想を超える出来事が報告されています。また、私が専門とするモルビリウイルスの分野でも、イヌジステンパーウイルスが霊長目動物へさらに感染を拡大している事例が明らかになってきました。これらは、解析技術の進歩によって見えるようになった現象なのか、それとも、私たちを取り巻く環境や病原体との関係が変化してきている兆しなのか、考えさせられるところです。

ただ、多くの病原体の拡大の背景には、人の行動が深く関わっていることは間違いありません。新たな危機は、その頻度を増しながら、突然現れるというよりも、気づかないうちに静かに、しかし着実に近づいてきている――そのような感覚を、私は抱いています。

国立感染症研究所を離れ、13年ぶりに大学の教育・研究の現場に戻ってから、3年余りが経ちました。研究に加えて、学生の皆さんと日々向き合いながら教育に携わることの楽しさを、改めて実感しています。新しい年の始まりにあたり、気持ちを新たにし、研究と教育の両方に全力で取り組んでいきたいと考えています。

当教室は、意欲を持った学生や若手研究者にとって、自由に議論し、挑戦できる場でありたいと思っています。少しでも興味があれば、ぜひ気軽に研究室を訪ねてください。皆さんと一緒に、新しい研究を進めていけることを楽しみにしています。

2026年1月吉日


https://researchmap.jp/Makoto_Takeda


========================================================

2022年9月から微生物学教室を担当することになりました。伝統ある当微生物学教室の歴史に恥じることがないように頑張って参ります。

2019年末、新型コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型)が出現し、その後、未曾有のパンデミックを起こしました。急性呼吸器ウイルス感染症は、伝播を防ぐことは非常に難しく、対策の実施に時間的な猶予はありません。生活の上で十分な注意を払うことによって流行を制御できる血液、食品、性行為などを介する感染症とは、この点において全く異なっています。

私は、もともとは小児科医を志していました。しかし、臨床を経験する中でウイルスが引き起こす感染症や合併症治療の困難さを知り、それであれば、ウイルスを徹底的に勉強して、そのことを通じて医療に貢献したいと思うようになり、ウイルス研究者の道へと方向転換いたしました。

麻疹ウイルスによる病原性発現機構、宿主プロテアーゼによる呼吸器ウイルス(インフルエンザウイルスやコロナウイルスなど)活性化機構などを主に研究してきました。研究の成果は、日本からの麻疹の排除、麻疹ワクチンの品質管理、新型コロナウイルスの対策などに一部役立てることができました。私たちの開発した呼吸器ウイルス分離用細胞(VeroE6/TMPRSS2細胞)は、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した当初から、世界中で利用され、世界がこのパンデミックと戦うために少しでも役に立ったと思っています。

今や地球上の隅々にまでヒトは溢れていて、グローバルな交通網も過密になるばかりです(今や宇宙まで過密になっているそうです)。結果として、新しい感染症が発生するリスクは高まるばかりです。私たちに猶予はありません。

とはいっても、日々の研究は、楽しいことで溢れています。次世代の育成は最も大切なミッションのひとつです。まずは、ちょっと覗きみたいというだけの方でも、是非、私たちの研究室を訪れてみてください。お待ちしています。

2022年10月吉日


https://researchmap.jp/Makoto_Takeda