教授挨拶

竹田 誠教授
Makoto Takeda

ご挨拶

2022年9月から微生物学教室を担当することになりました。伝統ある当微生物学教室の歴史に恥じることがないように頑張って参ります。

2019年末、新型コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2型)が出現し、その後、未曾有のパンデミックを起こしました。急性呼吸器ウイルス感染症は、伝播を防ぐことは非常に難しく、対策の実施に時間的な猶予はありません。生活の上で十分な注意を払うことによって流行を制御できる血液、食品、性行為などを介する感染症とは、この点において全く異なっています。

私は、もともとは小児科医を志していました。しかし、臨床を経験する中でウイルスが引き起こす感染症や合併症治療の困難さを知り、それであれば、ウイルスを徹底的に勉強して、そのことを通じて医療に貢献したいと思うようになり、ウイルス研究者の道へと方向転換いたしました。

麻疹ウイルスによる病原性発現機構、宿主プロテアーゼによる呼吸器ウイルス(インフルエンザウイルスやコロナウイルスなど)活性化機構などを主に研究してきました。研究の成果は、日本からの麻疹の排除、麻疹ワクチンの品質管理、新型コロナウイルスの対策などに一部役立てることができました。私たちの開発した呼吸器ウイルス分離用細胞(VeroE6/TMPRSS2細胞)は、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生した当初から、世界中で利用され、世界がこのパンデミックと戦うために少しでも役に立ったと思っています。

今や地球上の隅々にまでヒトは溢れていて、グローバルな交通網も過密になるばかりです(今や宇宙まで過密になっているそうです)。結果として、新しい感染症が発生するリスクは高まるばかりです。私たちに猶予はありません。

とはいっても、日々の研究は、楽しいことで溢れています。次世代の育成は最も大切なミッションのひとつです。まずは、ちょっと覗きみたいというだけの方でも、是非、私たちの研究室を訪れてみてください。お待ちしています。

2022年10月吉日


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